2005-02-16 宇宙の詩人 貘さん 食いそこなった僕 僕は 何を食いそこなったのか! 親兄弟を食いつぶしたのである 女を食い倒したのである 僕をまるのみしたのである どうせ生きたい僕なんだから何を食っても生きるんだが 食えば何を食っても足りないのか 今では空に背を向けて 物理の世界に住んでいる 泥にまみれた地球をかじっている 地球を食っても足りなくなったらそのときは 風や年の類でもなめながら ひとり 宇宙に居のこるつもりでいるんだよ (山之口貘『思弁の苑』)