2005-01-11 おとしだま 喪のある風景うしろを振りむくと 親である 親のうしろがその親である その親のそのまたうしろがまたその親の親であるというように 親の親の親ばっかりが むかしの奥へとつづいている まえを見ると まえは子である このまえはその子である その子のそのまたまえはまたその子の子であるというように 子の子の子の子の子ばっかりが 空の彼方へ消えいるように 未来の涯へとつづいている こんな景色のなかに 神のバトンが落ちている 血に染まった地球が落ちている 『山之口獏詩集』